もはや泥遊びともいえるほどドロドロになることもあるシクロクロス。
本場ヨーロッパのシクロクロス会場では、天気が悪かろうが、寒かろうが関係なくお祭り騒ぎ状態です。
そんな人気高いシクロクロスが最近になって日本でも人気上昇中です。
私自身も冬はシクロクロスに毎年取り組んでいます。
しかし、そもそも
シクロクロスとはどんな競技でどこにそんな魅力があるのか?
シクロクロスに興味を持ちはじめた方や、そもそもシクロクロスの存在を今知った方にはそんな疑問を抱くことが多いでしょう。
今回は国内シクロクロスのトップカテゴリーであるC1で走っている私がシクロクロスの特徴や魅力についてまとめました。
コンテンツ
シクロクロスの具体的な内容
もともとはオフシーズンのトレーニング!?
シクロクロスはベルギー発祥といわれています。
もともとはロードレースのプロ選手が冬場のトレーニングとして、周回コースを設けた悪路でレースをはじめたことが現在のシクロクロスになっています。
オフシーズンのトレーニングだった背景もあるため、シクロクロスのシーズンは10月から3月がメインになっています。
レース開始時点では周回数に決まりがない!?
シクロクロスが他の自転車競技と大きく異なるルールは、規定周回がスタート前は決められていない点でしょう。
レース時間はエリート男子で60分と規定されており、実際のレース中の周回ペースから周回数が決められます。
そのため、レースを走り出してから選手たちは残りの周回数を知ります。予想よりハイペースなレースでは、周回数が思っていたより多くなることもよくあります。
自転車競技でランニング!?
ロードバイクなどの競技中では考えられませんが、シクロクロスでは自転車から降りてランニングすることもよくあります。
斜度がキツイ坂や、路面が荒れすぎていてバイクコントロールを失ってしまう場合に、シクロクロスではランニングを多用します。
また、コースにはシケインといわれる障害物が置かれた場所もあります。
さまざまな路面での走行スキルが身につく!?
冬場に行われるシクロクロスでは、さまざまな路面に対応しなければいけません。
泥・砂・アスファルトに加えて、雪や水たまりを走ることもあります。
刻一刻と変わる路面に対応できるバイクコントロールが求められます。
シクロクロスバイクとロードバイクの違い
ロードバイクもシクロクロスも自転車をパッと見たときはすごく似ています。
しかし、見た目が似ていてもパーツの違いで自転車としての性能や特徴が大きく変わっています。
違い①フレーム形状
ロードバイクでは前傾姿勢をとりやすくするため、ハンドルまでの距離が長く、ハンドルの高さが低くできるフレーム形状になっています。
しかし、オフロードで高いバイクコントロールが求められるシクロクロスバイクは、ハンドルまでの距離が短く、高さを高くしてハンドリングしやすい形状をしています。
また、泥がフレームとタイヤの間にたまらないようにタイヤとのクリアランスは広めに設計されています。
もちろん、ロードバイクのようなエアロフレームはシクロクロスではありません。
違い②タイヤの太さ
ロードバイクでパッと目をひくパーツがタイヤかもしれません。
ロードバイクは低い抵抗で高速で走るために、タイヤの太さはどの自転車よりも細いです。
対して、シクロクロスバイクは、高いグリップ力が求められることがほとんどなので、32Cのような太いタイヤが一般的です。
また、タイヤ表面にはさらにグリップ力を高めるためにデコボコのブロックパターンがついています。
チャレンジ (Challenge) シクロクロス グリフォ 33 オープン WOタイヤ 274540001 33C違い③空気圧
シクロクロスバイクでは、タイヤのグリップ力を極限まで高めるために、タイヤの空気圧もギリギリまで下げます。
ロードバイクでは7.0bar前後が一般的ですが、シクロクロスバイクでは、1.5bar前後に設定することが多いです。
とてつもなくスリッピーな路面の場合は1.2barまで下げることもあります。
空気圧が低くなるため、リムが路面に触れている感覚もあり、パンクリスクが高まります。
しかし、パンクリスクを負ってでも高いグリップ性能の方が優先されます。
違い④コース
シクロクロスでは、周回コースでレースをします。
ロードバイクでも国内では周回コースが多いですが、距離が違います。シクロクロスでは、短い距離の周回コースを何周も走ります。
周回コースなので、観客としてはレース観戦がとてもしやすいです。
また、コースのすぐ脇で応援や観戦できるため、ロードバイクでは考えられないほど選手との距離が近いです。
シクロクロスで身につく5つのポイント
ポイント①バランス感覚
シクロクロスでは、ほとんどがオフロードでの走行なので、バランス感覚がとても重要です。
バランスが常に求められる環境で走り続けることで、高いバイクコントロールを身につけられます。
シクロクロスでバランス感覚に磨きをかけることでロードバイクでも安定して走れるようになります。
ポイント②コーナーリングスキル
シクロクロスでのコーナーリングは基本に忠実でなければいけません。
ロードバイクのように誤魔化しがきかないため、コーナーリングスキルも自然と高まります。
もし転倒したとしてもシクロクロスは低速走行なのでケガするリスクも低いです。
コーナーリングでのコツを掴みたいのであればシクロクロスはとてもオススメです。
ポイント③高い心肺機能
シクロクロスは60分という比較的短い時間でレースが行われます。そのため、爆発力が求められます。
短時間高強度での運動が繰り返されるシクロクロスに取り組むことで、心肺機能の改善にもつながります。
天気が悪い・寒いなどの理由でなかなかロードバイクに乗れない方も、シクロクロスをオフシーズンに取り組めば心肺機能の維持や向上が期待できます。
ポイント④爆発的な脚力
シクロクロスでは、コーナーのたびに低速からの加速が必要です。
また、路面環境が悪いためロードバイクよりも低いケイデンスで漕ぐ必要があります。
そういった過酷な状況での走行が求められるシクロクロスでは、脚力も自然と向上します。
ポイント⑤きれいなペダリング
ロードバイクではきれいな道路を走行するため、ペダリングのロスを感じることがありません。
しかし、シクロクロスなどのオフロードでは、無茶なペダリングをするたびに後輪が路面と食いつかずに空回りして進みません。
シクロクロスでしっかりと走るためには、理想的なペダリングで漕がなければいけません。
シクロクロスでのペダリングスキルをロードバイクでも駆使すると、今まで以上にロスなく走れます。
最低限これだけは必要!シクロクロス練習
練習①コーナーリング
シクロクロスでは、オフロードでの走行に慣れるだけでなく、しっかりと曲がれるスキルが最低限求められます。
オフロードでのコーナーリングはとても難しいです。
しかし、シクロクロスはコーナーの数が多いため、コーナーリングをマスターできれば、多少脚力や心肺機能が劣っている場合でも速く走れます。
練習②乗り降り
シケインといわれる障害物を乗り越えるときや、乗車しての走行が難しい路面でのランニングの前後で自転車の乗り降り動作が必要です。
移動しながらスピードを落とさずに乗り降りをできるようになるとスムーズに走れるようになります。
練習③ペダリング
ペダリングはコーナーリングと並んでシクロクロスで重要なスキルです。
シクロクロスで速く走るには、ペダリングとコーナーリングを極めればトップレベルの選手にもなれるでしょう。
ロスのないペダリングを心がけると、他の人は乗らないような路面でも自転車に乗ったまま進めるため注目されること間違いなしです。
国内のシクロクロスレース
各地域ごとのリーグ
国内シクロクロスの母体は「日本シクロクロス競技主催者協会(AJOCC)」です。
しかし、実際にレースを開催しているのは、各地域にあるシクロクロスリーグです。
「東京シクロクロス」「関西シクロクロス」「中国シクロクロス」などのリーグが存在しており、それらのリーグがそれぞれの地域で会場を設営して大会を開催しています。
もし、参加されたい場合は、自身が住んでいる地域のリーグが主催している大会に出てみるといいでしょう。
カテゴリー分けで初心者も安心
シクロクロスのレースは、カテゴリーが細かく分かれているためさまざまなレベルの方にあった部門に出場できます。
はじめてシクロクロスに出られる方は、C4というカテゴリーからスタートします。
C4カテゴリーは、レース時間も短いためはじめての方でも走りやすいです。
シクロクロスを体験するにも絶好の機会でしょう。
優勝など規定に定められた結果を残せると、C3・C2といったように昇格します。
国内のトップカテゴリーは、C1です。
国内トップ選手にも会える
シクロクロスは観戦していても楽しいのが特徴的です。
レース日程の同じ日の午後にトップカテゴリーであるC1のレースも開催されます。
C1カテゴリーには、国内トッププロ選手も走っているため見ていてワクワクします。
レースによっては海外の選手も走っているため迫力満点です。
トップ選手の走り方を参考にするいい機会にもなるでしょう。
まとめ
冬は毎年シクロクロスで盛り上がろう!
シクロクロスは、一見するとロードバイクに近い自転車です。
しかし、ルールも機材もすべてがロードバイクとは違います。シクロクロスは走っていても、観戦していてもどちらも楽しい競技です。
だからこそ人気が高く、海外でも会場ではお祭り騒ぎです。
国内にもシクロクロスで走る環境は整っていますので、ぜひ一度体験してみてはどうでしょうか?
シクロクロスの楽しみを知ると、冬がさらに楽しくなるでしょう。
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