ロードバイクに乗っているサイクリストにはこのようにヒルクライムに対して苦手意識が強い方が多いでしょう。むしろ、ヒルクライムが好きでたまらないという方の方が少数派です。
しかし、苦手意識が強いからこそ、ヒルクライムで速くなりたいと思われる方も非常に多いです。
今回は、現在でもロードレースに出場している選手目線で、ヒルクライムで効果的に速くなれる練習やコツ、注意点などを少し長くなってしまいますが、徹底的に解説していきます。
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ヒルクライムが辛い理由は?
そもそも、サイクリストにはヒルクライムに対して苦手意識を持っている方が多いのでしょうか? その根本的な要因として、「ただただ辛い」といったような声をよく耳にします。まずは、ヒルクライムが辛い理由について解説します。
辛い理由①心肺機能への負担が大きい
ヒルクライムは、重力に対抗してロードバイクと自分の身体を高い位置に移動させていく運動になります。その運動時の負荷量は、平坦な道を走行しているときよりも大きくなります。
負担が大きい運動を行うためには、莫大な力が必要になり、その力を生み出すために高い筋力や心肺機能が必要です。
辛い理由②乳酸が溜まりやすい
ヒルクライムでは、大きな負荷で筋肉に負担をかけていくため、乳酸が足全体に溜まりやすくなります。特に太ももの前部分には、たくさんの乳酸が蓄積するので、足が焼けるような感覚が強いです。
この乳酸の蓄積によって、ヒルクライムの辛さが全面に目立つようになってしまっています。
辛い理由③精神的に辛い
ヒルクライムが辛い理由として、身体への負担が大きいことや、乳酸が溜まりやすいことを挙げましたが、最終的にはそれらの要因が積み重なったことで、精神的な苦痛が非常に大きいです。
また、移動速度も遅いため、なおさら精神的に長い時間苦痛を感じます。精神的に苦痛を感じやすい環境であることが、ヒルクライムに対する苦手意識を生み出しています。
ヒルクライムで求められる能力
ヒルクライムを速くなるためには、やみくもに練習を繰り返すよりも、「どの部分を向上させることができれば、結果的にヒルクライムが速くなるか?」ということを知っておいた方が効率はいいです。
そのため、ヒルクライムに求められる能力についても知っておきましょう。
能力①心肺機能
ヒルクライムでは、すでに説明した通り、高い心肺機能が求められます。心肺機能が高まることで、運動で不可欠な酸素を多く前進に届けることができます。
ヒルクライムでは、この心肺機能の向上は、ヒルクライムの速さに直結してくるため、非常に重要です。心肺機能の指標としては、最大酸素摂取量や心拍数などがあります。
能力②筋力
次に、ヒルクライムで重要になる能力は筋力です。大きなパワーを生み出すためには強靭な筋肉が必要になります。脚の筋肉はもちろんですが、ロードバイクでは上半身や体幹の筋力も非常に重要です。
そのため、足の筋肉ばかりに注目せずに、全身の筋肉をバランスよく鍛える必要があります。
能力③乳酸耐性
意外と見落とされやすい能力が乳酸に対する耐性です。ヒルクライムでは、時間経過とともにどんどん乳酸が足に溜まっていきます。そのときの乳酸の受け皿が大きければ大きいほど乳酸に対しての耐性が身について、大きなパワーを生み出し続けられます。
また、乳酸を除去する能力も高いと、溜まる乳酸の量も少なくすることができます。
能力④メンタル
最後に、重要な能力はメンタルです。重要に感じていない方もいますが、辛くてもペダルをこぎ続けていくためには、不屈のメンタルが必要です。
「もうだめだ」と限界を感じたときでも、気持ちを奮い立たせることで、もう少し頑張り続けることができることもよくあります。そのため、ヒルクライムでは、メンタルの重要性が非常に高いです。
ヒルクライムの効果的な練習方法
練習方法①筋トレ
ヒルクライムでは、大きなパワーを生み出す必要があるため、筋力が高ければ高いほど有利になります。筋力自体を向上させるトレーニングは色々ありますが、一番取り組みやすい練習は、筋トレでしょう。
スクワットやレッグプレスなどの筋トレで足の筋力向上が図れます。また、体幹の筋トレとしては、プランクなども有効でしょう。
練習方法②インターバルトレーニング
ヒルクライムで重要な能力の一つである心肺機能を向上させるための練習は、インターバルトレーニングが一番有効です。インターバルメニューや方法にはさまざまなものがあります。
30秒間全力走を行い、30秒休憩後に再度30秒全力走を数セット行う「タバタ式」はシンプルですので、初心者の方でも行いやすいです。負荷が大きいので、メンタルトレーニングにもなります。
練習方法③10分~20分走
ヒルクライムでは、一定で出力できるパワーが一つの指標になります。この一定で出力できるパワーが高ければ高いほど有利ですが、そのためには、短時間高強度でのインターバルののみでは不十分です。
インターバル練習に加えて、10~20分間の全力走を取り入れると相乗効果が得られます。ノンストップが望ましいので、長い上り坂などで実施するといいでしょう。
練習方法④ヒルクライムの数を地道にこなす
ヒルクライムでは、心肺機能や筋力などのフィジカルの強さが注目されがちですが、乗り方ひとつで大きくタイムを更新することもあります。平地の道とヒルクライムでは、ペダリング方法やポジションが違ってきます。
乗り方などのテクニック面の練習は、ヒルクライムを行うことでしか行えないため、意識した乗り方が身につくまで地道に繰り返すだけでも十分練習になります。
練習方法⑤ロングライド
実は、ロングライドを取り入れるとヒルクライムの改善につながります。ロードバイクは、有酸素運動がベースになっています。
このベースとなる有酸素能力が不足した状態では、インターバル練習などの効果が十分に得られないといわれています。そのため、全体的な底上げを目的に、ロングライドでのベース作りは非常に大切です。
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