ロードバイクのパワーメーターは価格が少しずつ安くなったことで、多くのサイクリストが使うようになりました。
パワーメーターと対になって必ず出てくるキーワードに「FTP」があります。
なかでも、ロードレースなどに取り組んでいる方にとっては、「いかにしてFTPを上げていくか」というポイントに一生懸命取り組んでいる方も多いでしょう。
しかし、
「FTPさえとりあえず高くすればロードレースでも速くなれると過信していませんか?」
FTPはパワートレーニングにおいては重要な指数ですが、ロードレースにおいてはFTPがすべてではありません。
今回はFTPをはじめとしたパワートレーニングのよくある誤解や間違いについてまとめました。
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パワートレーニングで誤解されやすい3つのポイント
FTPをはじめとして、パワートレーニングに対する知識が不足していると注意点や思わぬ落とし穴に気づきにくいです。
まずは、パワートレーニングやFTPについての正しい基本知識を身につけることをオススメします。
パワー・トレーニング・バイブル今回紹介するパワートレーニングでの誤解されやすい代表的なポイントはこの3つです。
誤解①パワーは高ければ高いほどいい
最初に紹介するのは、FTPを上げることに満足してしまう方に多い誤解です。FTPを高めることで速くなれますが、例外の場合もあります。
パワーは体重に依存する
FTPなどのサイクリストが出力可能なパワーは、脚力などの能力だけでなく、体重にも大きく影響されます。
一般的に、体重が重く、体が大きい方のほうが全身の筋肉量が多いです。
筋肉量が多い方は全体に出力できる力も大きいため、自然とロードバイク上でのパワーも高くなります。
そのため、同じ初心者の方でも、体が大きい方と小さい方では相対的に、体が大きい方の方がパワーは大きいです。
そのため、FTPという指数をほかのサイクリストと比較するときには注意しなければいけません。
体重とのバランスが大切
FTPをただ上げたいようであれば、極端な話、筋トレを中心に取り組んで、多くの栄養を摂取するようにして、体を大きくすればどんどん上げられるでしょう。
しかし、もしロードレースで結果を残したい方にとっては、体をむやみに大きくするというのは、正しい選択ではありません。
FTPの向上は目に見える成長で喜ばしいことですが、パワーと体重の関係を無視してはいけません。
すなわち、FTPなどのパワーは体重とのバランスが非常に重要です。
誤解②パワートレーニングのすべてが速さに直結する
最初に紹介したパワーと体重を考慮したトレーニングをしていたとしても、さらに注意すべきポイントはあります。
ペダリング効率が悪い
パワーメーターでは、ペダルに対して加えられた力を表示しています。
脚力が上がれば出力できるパワーが向上します。パワーメーター上の数値が向上したとしても、ペダリング効率が悪いと十分な成果は感じられません。
残念ながら、ペダルに加えた力のすべてが推進力に変換されません。
大きい推進力のためには、ペダリング効率を度外視してはいけません。
もし、あなたがスマートローラーでばかりトレーニングをして、FTPが向上したとしても、ペダリング効率が悪くなっていた場合は、ロードレースでの勝利は離れていくでしょう。
タイムに現れないこともある
推進力はペダルに加えたパワーで得られます。しかし、ロードバイクは、自然界で走行する乗り物です。
つまり、「風」「路面状況」「気温」「湿度」など速さやパフォーマンスに影響する因子は無限に存在します。
いくらFTPが向上したとしても、タイムアタックをしたときのタイムに変化がない場合もあります。
トレーニングの成果が結果にあらわれなかったとしても、落胆しすぎることは避けるべきです。
一度のタイムアタックだけで判断するのではなく、長めの期間で総合的に判断することをオススメします。
誤解③パワーメーターが必ず正しい
パワートレーニングにおいて、そもそもの話ですが、パワーメーターが測定した値を「絶対」と過信してはいけません。
パワーメーターの構造上の【パワーメーターの弱み】を知ってトレーニングに取り組むべきです。
各メーカーのパワーメーターには誤差がある
パワーメーターは精密な機器ですが、わずかな誤差があります。各メーカーの製品情報にも測定誤差は記載されています。
多くのサイクリストに使われている大手メーカーのパワーメーターでも誤差は±1-2%程度あります。
300Wで誤差が2%であれば6Wの差が出ます。もっといえば、+2%で測定されてしまったパワーと、-2%で測定されてしまったパワーでは、12Wもの差がうまれます。
そのため、測定誤差があることを知っておくことは重要です。
左右両側測定・単独測定でも違いがある
クランク測定型のパワーメーターは、測定方法が【左右測定型】【単独測定型】があります。
左右両側の測定は、左右別々のパワーメーターが測定した値を合算して表示します。
しかし、単独測定の場合は、一つのパワーメーターで測定した値を2倍にして表示します。
どちらの測定方法が優れているという観点はどうでもいいです。
あくまでも自分の中でのモノサシとして目安にしていくといいでしょう。
ほかのサイクリストと比較するときには、測定方法などによっても多少の差は生まれます。
気温変化に弱い
クランク測定型のパワーメーターは、クランクに生じた「ひずみ」の量からパワーの値を計算しています。
一般的な測定精度に問題はありませんが、気温変化に弱いという欠点があります。この欠点はパワーメーターの構造上致し方ないです。
そのため、保管場所と測定場所の気温が大きく異なる場合には、キャリブレーション(校正)の作業が必要です。
パワーメーターの数値が絶対的であるという先入観をもたずに、違和感を感じるような数値を表示している場合には、必ずキャリブレーションを行うべきです。
特にFTP測定の場合には、なるべく精度の高い数値を計測したいため、キャリブレーションをFTP測定前に行っておきましょう。
パワートレーニングで念頭に置いておくべき3つの考え
考え方①FTPはあくまで参考値
FTPをはじめとしたパワーメーターの数値は、参考程度に把握しておきましょう。
パワーメーターの数値は、その時の気象条件などに左右されやすいです。
さらには、見た目上はFTPが向上したしたと思っても、実際には体重が増えただけかもしれません。
FTPなどのパワーの変化に素直に一喜一憂するのではなく、パワーが変化した要因が「本当に能力が向上したことによるものなのか」ということをしっかりと考察しましょう。
考え方②結果に直結する行動をする
FTPを上げたいがために、むやみやたらにトレーニングに励むことは賢明ではありません。
特に、ローラー台だけでパワートレーニングを行うことは避けるべきです。
ZWIFTのようなアプリ上でのレースに専念するのであれば、ローラー台だけでのトレーニングでも問題ありませんが・・・
しかし、ローラーでのペダリングは、実走では進みません。
また、FTP向上のためにも、自分にあったトレーニング内容についても吟味が必要です。
考え方③速さ=正義
結論としては、ロードレースなどの勝負の世界では、「速さ=正義」です。
パワーがほかのサイクリストよりも低かろうが、体重が重かろうが、誰よりも速ければそれが一番です。
逆に、どんなにパワーがある選手でもペダリング効率が悪いなどの理由で、速くないのであれば意味はありません。
パワーの数値に縛られるのではなく、「どうすれば速くなれるのか?」という疑問を突き詰めたほうがいい結果を得られる場合も多いでしょう。
まとめ
パワートレーニングではパワーの数値だけにフォーカスすべきではない
パワートレーニングにおいて、FTPなどのパワー向上に目的に熱心にトレーニングに取り組んでいるサイクリストも多いでしょう。
しかし、FTPやパワーの数値は、さまざまな要因で変化します。
時には、パワーが向上したとしても、体重が増えすぎていたり、ペダリング効率が悪くなってしまうことで全く速くなっていないこともあります。
そのため、パワートレーニングでは、パワー以外のことも考慮して、速さに直結するように心がけることをオススメします。
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